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2015.02.23会員の富士川義之さんが「第66回読売文学賞」受賞!

鎌倉ペンクラブ 前・副会長 駒澤大学名誉教授 富士川義之さんが「読売文学賞」を受賞!

第66回読売文学賞の贈呈式が2月23日に帝国ホテルにて行なわれ、鎌倉ペンクラブ前・副会長の富士川義之さんが『ある文人学者の肖像 評伝・富士川英郎』(新書館・刊)で、同賞の評論・伝記賞を受賞されました。

読売文学賞は昭和24年に創設され、これまで日本を代表する優れた文学者に贈られてきた賞で、因みに第1回受賞者は井伏鱒二、齋藤茂吉、草野心平ほかの皆様です。第19回(昭和42年)の受賞者には、今回の作品で描かれた富士川英郎の名があります。すなわち、読売文学賞を親子で受賞されたことになります。
選考委員を代表して作家の辻原登さんが書かれた選評は次の通りで、「わが国評伝文学の最高度の達成である」と絶賛されています。

選評『ある文人学者の肖像 評伝・富士川英郎』 父の真実の生涯(辻原登)

文人学者。専門を越えて文学の普遍に参画する稀有な存在。富士川英郎はまさにその呼称に相応しい。著者はその息子で、英文学者富士川義之である。追い求められるのは「父の真実の生涯」である。
「美しい少年時の思い出をもつ父親への憧れ」から書きはじめられる。だが、その父が古書を次々と買い込むため台所はいつも火の車で、母がすすり泣きをしているのをみて、少年の著者は怒りと悲しみを必死にこらえる。
「憧れ」と「悲しみ」がこの本の基調であるが、著者の豊穣な学智と経験に裏打ちされた犀利でエレガントな文体は、父親の文業を通して、『日本医学史』『日本疾病史』の祖父富士川游へと渉り、游が、森鷗外が「史伝」を書くに当っての最大の協力者であった事情を記述した上で、鷗外、游、英郎が、滅びゆく江戸後期の文化を支えた無名人たちへの哀惜と共感の中で、美しい空想の文芸共和国を生みだし、一体となっていく様子が感動的に描かれる。

では「父の真実の生涯」はどうなったか? 父の書斎から洩れる「孤独のランプ」に触れ、真実を知ることへの諦念が明かされる末尾に近いページは、我々すべての「父」と「子」の孤独を照らし出して余りある。わが国評伝文学の最高度の達成である。

受賞のことば(富士義之)

リルケやホフマンスタールの研究や翻訳で知られたドイツ文学者が、五十代半ば頃からなぜ専門外の江戸漢詩や日本医学史の研究に没頭したのか。専門が違うとはいえ、同じ外国文学者である息子の私自身にとって、それは長い間一種の謎でした。

それゆえ、その謎を少しでも明らかにできたらと考えたのです。とともに、同じ学者としての息子の眼から見た父の像も本書で探ってみようとしました。子供の頃から父はいささか謎めいた存在として私の眼には映っていたからです。この評伝は父がどのような学者であったのかという謎と父という人間の謎を探るという二重構造になっています。そこから現代ではまれな文人学者のイメージが立ち上がってくれることを願いながら執筆したのが本書です。

高く評価していただいたことを大変嬉しく思います。

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